13日の金曜美術館|アトリエ如瓶|ブログ・ヘッダ画像

このブログは、世の中の様々な「黙っていられん!!」ことを書くことを主旨としております。お客様や、お客様になるかも知れない方が読む可能性のあるブログではありますが、(書き手が勝手に決めたものながら)主旨を尊重し、常体文で記述して参ります。何卒お含みおきの上、お読みくださいますようお願いいたします。

各駅停車駅探訪1・沼袋編 3/4

……そんな事を思いながら、大通りの方へと私は向かった。駅前の通りだけあって、200~300m位続いているかと思われる商店街になっている。ただ、こちらもチェーン店率はかなり低い印象だった。
平成10年以降の開業かと思われる店にしても、チェーン店ではなく、個人経営なりの意図でもって経営されている風情であった。
北海道へ行っても、地元鹿児島を見ても、全国展開しているチェーン店が目に付き、自分の住む東京とあまり違わないなぁと思う事が多かったのだが、ここはちょっと違う雰囲気だ。……東京なのに。

小料理屋、総菜屋、スーパー、ソバ屋、ラーメン屋……どれもが、少し色あせた看板をしょっていて、佇まいがどうにも昭和を感じさせる。
カウンターに高い椅子が並ぶバーなども、石原裕次郎や二谷英明が出てきそうな雰囲気……昭和も30~40年代の雰囲気がある。

通りとしてはメインであるためか、定食屋や中華屋の値段設定は都心部なみ。さっきのY字路あたりよりは少し高く感じる。
やはり、Y字路方面での食事にした方が良いかと思った私は、大通りの開けた雰囲気が終わるのを見極め、駅の方へ引き返した。
上の画像は、大通りから見える路地沿いの飲食店街。一番昭和な雰囲気を感じたので、写真に収めたが、何が写っているか良く分かりませんな。

一応、食事の前に、踏み切りの向こうも見ておこう。
一応……と書いたのは、踏切を渡る前からチェーン店の牛丼屋、ドラッグストア、大手のコンビニエンスストア……と軒を連ねているのが見え、私の求める雰囲気の飲食店が、先ほどの大通りよりも少ないだろうと思えたからであった。

ところが……。
夜の沼袋を煌々と照らす3軒を過ぎた先は、飲食店が2~3軒あるだけで、その先には暗がりが広がっていた。
すぐ先に大きな公園や神社があるためなのか、商店街はおろか、飲食店も連なっていないようだった。
まるで……どこにでも進出してくるチェーン店が、今まで開けていなかった踏切の向こう側に締め出されたみたいだ……と、私には思えた。

さて、これまでを振り返って考えても、やはり今夜の夕食はY字路の飲食店街のいずれかに決める方が良さそうだ。歩いたお陰で、さらにお腹が減ってきた。

正直な気持ちを書くと、行った事のない店に初めて入るのには勇気が要る。
そういう場合に、同じ値段、同じ味わいと、サービスの均一化を図って全国展開している飲食店に入るのは、どこか安心できるところもある。
ただ、そういう便利や安直さに毒されていては、自分の味覚や感性も画一化され、自分を見失う事に繋がっていくと思う。
自分らしさを守り、失わずにいるためには、こうした開拓は必要なのだと、私は思う。……ちょっと大袈裟か?

状況によっては、チェーン店に入る事もあるけれど、私としてはあの店のアレが食べたいというときにだけ入るようにしているつもりであり、チェーン店だから安心という考え方はしていないつもりである。

……などと、自分らしく理屈っぽく考えているうちに、Y字路の飲食店街前につく。

改めて公衆トイレを見ると、大振りなだけでなく建物自体も凝った作り方をしてあり、縦に波打った壁面のくぼみに、ベンチらしきものが据え付けてあったりもする。前衛的……いや合理的……。何とも形容しがたいが、あまりあそこに座る気にもなれないなぁ。
とにかく、お金はかかっていそうだ。

……と、観察はこれくらいにして、晩メシ……晩メシ……晩メシ……と、精神統一。

各駅停車駅探訪1・沼袋編 2/4

……見通しの良いY字路の方を見ると、飲食店街になっているのが分かる。いずれも色褪せ気味の看板で、チェーン店に付け入る隙を与えていない感じである。いや、チェーン店が割り込もうとしないのかも知れないが、どっちだかは分からない。

基本的に、仕事帰りに摂る食事が目当ての下車でもあるので、目に付くまま飲食店街の方へ足を向ける。
食事が出来るところを中心に見て回ると、中華屋、洋食屋、イタリアンなど、第一印象を裏切らないイメージの店々であり、都心部の同程度のお店よりは50円くらい安い印象だ。

それにしても……軒並み長い年数やっている風情の店ばかり。新しい方でも平成になってから開業したのではなさそうだ。平成ももう19年経つ。昭和は本当にもう遠い過去なのだ……。

これ以上見るべきものはないな……というところでクルリと振り返った私は、踏切のある大通りの方へUターンした。
夕食の候補は幾つもあったが、向こう側も見ておかなくては。

……と、踏切付近まで来たときに私は、異様な違和感にふと足を止めた。
Y字路を挟んで駅の出口の反対側に、大きめの公衆トイレがあるのだ。……かすかに、らしい臭いも漂うし、通りがかるときの角度によっては、用を足している男性の姿も目に入る。
ここは駅の出口を出て、飲食店街に行こうとすると必ず視界に入る場所であり、そこから10歩も行けば、もう飲食店があるのだ。そんな場所に、飲食のイメージが吹き飛ぶような存在があるのは、どうなのだろうか。
私の知る限り、西武線単独の駅には、駅舎のすぐ近くに公衆トイレのある駅が幾つかある。飲んで帰ってきた乗客が、あらぬ場所で用を足さないようにというサービスなのかもしれないが、他の所はもう少し設置場所に配慮がある。

だがここ沼袋は、他と比べても広いとは言えない駅前のスペースに、他よりも大きめではないかと思える公衆トイレがどん! とあるのだ。
出口を出た右へと続く飲食店街で食事を摂るには、ちょっとした精神統一が必要だ。
中野区が造ったのか、西武鉄道が造ったのか分からないが、この公衆トイレに関しては、サービスと言うより、配慮無き街作りを感じざるを得なかった。

(続く)

各駅停車駅探訪1・沼袋編 1/4

「途中で降りる駅が無くて困る」と、利用していながら不平を言いたくなる西武新宿線。
運賃も安く、沿線の家賃も安いという魅力がありながら、郊外から都心部までの移動に特化した感のある西武新宿線。
そんな西武新宿線を応援すべく……なんていう意図は全くなく、自ら何かしらの楽しみを見付けないと、通勤もしていられん!
……と思うあまりに思いついたこの企画。

知人が住んでいなければ、長年通勤に使っている人でも、降りた事がない駅となりうる、各駅停車しか停まらない駅であえて下車し、チョビっとうろつき、チョビッとレポートしてみたいと思う次第である。

メジャーなスポットや、オシャレなお店は他の方に任せ、如瓶は我が道を歩む……そんなシリーズなので、ニュースヴァリューは低い。
このシリーズは、掲載する画像の関係で、文章の分量に関係なく、2~4頁程度で構成する予定です。

では、開始。

1回目は、西武新宿駅から数えて5つ目、中野区にある沼袋駅。
急行が最初に停まる鷺宮は、西武新宿から8つ目で沼袋の3駅先であり、急行・準急利用者には降りにくさ満点である。
私がここ沼袋を最初に選んだのは、この降りにくさ……からである。

高田馬場から西武新宿線各駅停車に乗り、4つ駅を数えて、沼袋駅。通勤の折に何度も通過してきた駅で降りるのは、やはりちょっと勇気が要る。
電車を降りて見回すと、降りたホーム側に出口は見あたらない。改札の外に出るためには線路を越える階段を登らなくてはならないのだ。
仕事を終えた立場には、疲労感を増幅させるが、ある意味急行の停まらない西武線の駅らしさだ。

私の良く知る範囲のJR中央線と比べるのが良くないのか、西武線の急行などが停まらない駅には、片側にしか出口のない駅が多く、不便を感じざるを得ない。線路の両側に出口を作れば、駅周辺も含めてどれだけ便利になるだろう……と思う駅が、他に幾つもある。

出口脇から右手を覗くと、細い路地がY字路となって合流してこちらに続き、それは出口を過ぎた先の、踏み切りのある大通り(2車線)につき当たる……という、独特な光景を作っている。

(続く)