三大秘湖を目指せ! 無意味にちょっとサイバーなスケッチ旅行/2003年

出発……の前に準備編

プロローグ

昨年の分の旅行記を書き終えていないのに、お盆休みが迫ってきてしまった。僕はまだ、今年も北海道へスケッチ旅行へ行くべきかを悩んでいた。
初の長期スケッチ旅行であり、初の北海道上陸であり、初のソロツーリング&キャンプを敢行した昨年だったが、悪天候に祟られ、最大の目的であるスケッチにどこか不満が残っていたのだ。
「水辺の風景のスケッチ展」となる個展を成就させるためにも、北海道での枚数的にも質的にも満足の行くスケッチが出来なければ、旅行の意義は半減だったはずなのに、それが不充分に思えたのは、旅行として考えれば充実していたから良しと出来るものでもなかった。

やはり描き残したものがあると思えたし、まだ見ていないものも沢山ある気がしていた。やり残したことがあるのを自覚していながら、それを放っておいて良いものとも思えない。
かといって、何としたことか、今年も大型の台風が迫っていて、現地の人たちが「異常気象だ」と言っていたほどの昨年以上の悪天候が予想されるし、昨年と比べて経済的な部分で苦しいなど、ネガティブな要素も多い。
生まれつき間の悪い男である僕が、こんな状況で北海道へ行ったとしても、去年と同じような結果になるか、あるいは去年よりもひどい結果になるのではないだろうか……そんな嫌な予感も頭を過ぎる。とてもではないが、「去年のようにはならないだろう」とは思えない状況だった。

左がツーリングマップル(¥1,600-)、右は昨年携行したマップルの全国地図。
左がツーリングマップル(¥1,600-)、右は昨年携行したマップルの全国地図。サイズ的にも内容的にも北海道へ行くならツーリングマップルが適している。(実感)

……などと迷いながらも僕は、今年のツーリング&スケッチ旅行に対して、少しずつ準備を始めていた。
準備一つせずに時期が過ぎ、「ああ、行けば良かった!」と後悔するよりは、いつでも行けるようにしておいてそれでも抵抗があるようなら取りやめれば良い……と思ったのだ。テント泊をしてスケッチするなら北海道でなくても良いのだし、準備した物を無理に今年使わなくてもいのだから。

そんなわけで、まず僕はツーリングマップルを購入した。昨年のスケッチ旅行は、全国地図がたよりだったため、非常にルートを検討するのに手こずったし、得られる情報も少なかった。出発前までの情報収集でツーリングマップルという地図の存在を知ってはいたが、全国地図があるから構うまいと思い、用意していかなかったのだ。だが、道中に出会ったライダーさんのほとんどが携行しており、キャンプ場やユースホステルやライダーハウスなどが詳細に書き込まれているなど、ツーリングに特化した地図であるツーリングマップルは、チラチラと見せて貰うだけでも非常に便利そうで、次に北海道へ行く時は必ず持っていこうと思っていたのであった。
「何だ、やはり北海道へ行くつもりマンマンだったんじゃないか」と思われそうだが、職場の近くに本屋さんがあり、たまたま目に留まったから購入しただけのことである。
実際に購入して中を見てみると、「ああ! これを持っていれば、食にも観光にも便利だったのに……」と思うことしきり。北海道ならではの風景写真や道路などの写真も出ていて、いやが上にも気分を高揚させる。
「あ”~、やはり行くべきかなあ」と、また悩む。

マントルの図(もちろん右)。
マントルの図(もちろん右)。どんな理屈があるのか分からないが、緑の方を上にしてガスランタンにセットする。どんな風にセットされるかは、後で出てくる画像を参照して下さい。。

昨年の旅行で、ストーブやクッカーなど、ソロキャンプに必要な物は買いそろえてあるので、あとは消耗品を用意するだけだ。相変わらず悩みつつも、「北海道でなくても使える物だし、非常時にも役に立つ……」と改めて思い、釣り具、キャンプ用品の上州屋へ出掛けたりもした。

その時のこと……。
「すみません。これと同じメーカーでちょっと前の型のランタンだったと思うのですが、マントルはどれが合うんでしょうか? 一つか二つ残っていたと思うんですが、紛失してしまって、どれが良いのか分からなくなったんです」と、店員さんに聞くと、
「ええっと、そのメーカーのそのタイプだと、このマントルになりますね」とのお答え。
「そうでしたか。それからもう一つお願いが……。去年こちらのお店で購入したストーブが、最後に使った時に火がつかなくて、ボンベが空になっていたのか、不具合なのかが分からなくて、点火するかどうかを確認したいんですが……」
「いいですよ。そういう時のためのボンベがありますから、それを使ってチェックしましょう」
「どうも。これがそのストーブです」と、僕はストーブの入ったケースを差し出す。
「あ”」と、店員さんも僕も絶句する。
「紛失してしまって」と、僕の言ったマントルは、ストーブと一緒にケースの中に収められていたのだ。昨年、道具をしまい込む時に、無くしたりしないように、ソロキャンプなら必ず持っていくストーブのケースに入れておいたようだ。これでは、この中を見ない限りマントルが見つかるわけはない。片づけすぎ……というヤツだ。

店員さんがストーブをボンベにセットし、点火してみると、何も問題はなかった。
僕は赤面しながらお礼を言い、「マントルは……あと二枚あるので、またにしますね」と、店員さんに言い、そそくさとレジへ向かった。
その他にも、昨年あると便利かと思えたヘッドランプと、昨年まで使っていてボロボロになってしまったアルミを貼ってあるロールシートを新調し、さし当たって揃えておいた方が良いものを揃えた。

今回の旅の新兵器、CASIO・FIVA。
今回の旅の新兵器、CASIO・FIVA。クロック数は233Mhzで今のご時世では頼りないが、コンパクトなボディとお値段が気に入った。

さて、僕にはもう一つ、キャンプ用具とは別に、昨年分の旅行記を作成していて、是非とも持っていきたいと思うものがあった。
それは、ノートパソコンであった。

旅行記の制作が滞ったのも、記憶が薄れていた部分が多くなったり、材料を調えるのに時間がかかったり……と、忙しい日常の中で時間を割きたいだけ割けなかったからである。
昨年のスケッチ旅行を思い返すと、夜はそれなりに時間があるわけであり、それを利用して、ルートや出来事だけでも記憶が鮮明なうちに記録しておけば、幾らかでも負担を減らすことが出来る。
然も、今年も懸念される雨が降ったときなども、旅行記の制作に専念することによって有効に時間を使うことが出来るし、何も出来ずにいるストレスも感じなくて済む。そして、旅行中に制作が進んだ分、帰還後の旅行記の制作も昨年のようなお恥ずかしい結末にはならないのではないだろうか……という、安易な予想があったのだった。
そしてここでもまた、「実際Windowsのノートパソコンは、色んな事情で必要だし、旅行が終わった後でも使えるものなのだから」という便利な言い訳を持ち出して、購入に至った次第。
……読んでいるあなた、「11月も下旬にUPし始めたクセに」と、呆れてるでしょ?(汗)

開くとこんな感じ。
開くとこんな感じ。液晶モニタの右下脇にある四角くくぼんだ部分に当てた親指に従ってポインタが動く……という独特の操作感も、ちょっと気に入った。

ともあれ、一に、万一破損してもショックの少ない中古で低価格であること、二に携行に支障のないうんと小型のものであること……を最優先にして、近所にある中古も扱っている量販店へ何度か足を運んだ。

Windowsのことがよく分からない僕は、散々店員さんに「またあんたかい!」と思われるほど、あれやこれやと質問を浴びせ、悩みに悩んだ挙げ句に選んだのが、右の画像のFIVAであった。
CDドライブや、フロッピードライブなどの付属品もバッチリ揃っていて、6万円ちょっと。233Mhzという前時代的な処理速度はちょっと気になるし、店員さんも「今は233Mhzじゃあ話にならないですよ」とアドバイスしてくれたが、現代的な処理速度のマシンを選ぶと、周辺機器まで加算すると10万円を超える。
でも、店頭で「試し打ち」してみたが、タイピングしていてイライラする程ではなかったし、旅行が終わればデータのバックアップなどが中心の用途となるので、これで構うまい、と思い決定したわけである(12回のローンで)。

……と、ここまで準備してしまった僕は、悩んでいると言いつつも、やはり北海道へ行く気マンマンだったのだろうか?
天気予報によると、近づいている台風の勢力は予想以上のようだし、進路もかなりの確率で北海道を捉えそうだ。
悪天候を承知で、スケッチが出来ないかも知れないのに北海道へ行くのか? それとも、予定を変更するのか?
昨年知り合ったユミカさんとはどうなる?
それより、こんな事を書いて旅行記と言えるのか??
さあ、どうするJobim !?(←白々しい)
(続く)

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