三大秘湖を目指せ! 無意味にちょっとサイバーなスケッチ旅行/2003年

青森へ・深夜の疾走

結論・夕刻の出発

「うわ、寝坊した!」
予定では夜中に準備を済ませ、明方には出発するはずだったのに、目を覚ますと10時を過ぎていた。
昨晩も仕事が長引き、帰宅したのは深夜の三時過ぎだった。付け加えて、ただでさえ遅くなった仕事の後、職場の人たちに混ざって、ビールを1リットルほど飲んでしまい、連日忙しくて疲れていたのも大きな原因で、帰宅して間もなく、落とし穴に吸い込まれるような感じで寝入ってしまい、寝坊してしまったのだ。
自己嫌悪に陥り、やはり今年はよした方が……と、一旦僕は考えた。だが……。
「そうだ! 去年は猛暑の中を延々と高速を走ってうんざりしたのだ。今年はそれをやめよう。今日の夕方頃にウチを出れば、涼しいかちょっと寒いくらいの時間帯に高速をクリアできる。夕方までに時間はたっぷりあることだし、その分そつの無い準備が出来るというもの……良い事ばっかりじゃないか♪」

……と、お盆休みに入る当日まで悩んだ揚げ句、休みに入った金曜日(昨年同様、仕事のスケジュールの都合でそうなった)の夕方に、僕は北海道を目指して出発した。ヌケヌケと旅行記をUPし始めておいて、「一体どうするんだ?」と書き続けるのもいい加減にします。

今年のスタート時の走行距離計。
今年のスタート時の走行距離計。26469.3kmを指している。

前夜の職場でビールを頂きながら、昨年のお盆休みに北海道へ行ったのを知っている人たちから「今年も行くんでしょ?」などと聞かれ、「ええ、まあ……」などと答えてしまったのが最終的な決断のきっかけになってしまったような所があっただろうか。
もっとも、準備を始めた段階から行く気だったんじゃないかと言われれば、何も否定する気はないのだが……。
そんなわけで、ゆっくりと準備を済ませ、高速に乗ったのは日の暮れかかる19時ごろとなってしまった。

夜に高速道路を走ったお陰で、猛暑を避けることが出来たのはまさしく怪我の功名だった。
当然の事ながら、夏の暑さは体力も消耗するが、それを軽減できる。どうせ高速道路だから、景色が見えなくて物足りないという感じも少ない。
昨年より9時間ほど遅いスタートだが、金曜日の出発であることは変わり無く、普通に勤めている人たちよりも一日リードした出発だ。フェリーのキャンセル待ち10時間……とかみたいな事態は避けられるだろうと思えた。

前沢牛の串焼き(¥400-)、前沢S.A.にて。
前沢牛の串焼き(¥400-)、前沢S.A.にて。なかなかイケました。今年もあちこちで串ものを食べた。(ピンぼけ恐縮)

とにかく、高速は快適だった。
エンジンも出発前にオイル交換をしたおかげか、昨年同様に良く回っているようだし、内股が熱くなったりもしない。また、昨年夜の豪雨で苦しめられたヘルメットのシールドも、新しいものに交換したおかげで、暗くても視界良好で怖くない。
次があるとしたら、やはりこの時間帯に出発することにしよう。去年痛い目にあった分、少しだけ賢くなったようだ……なんて旅行記に書けば、バカぶりが読んでいる皆さんにバレなくて……って、堂々と書いている訳だが。

そんなおトボケはさておき、僕はまさしく快調に高速を走っていたのだが、何時間も変化に乏しい高速道路を走っていると、やはり眠くなってくる。
単車に乗る知人の話や、ネットで他のライダーさんのHPなどを見たところでは、眠くなったときは「ガムを噛む」とか「叫ぶ」とか「普通に休憩して仮眠を取る」などの対処をする人が多いようだ。
僕の場合はどうかというと、「歌う」である。「叫ぶ」と共通する部分も多いが、とにかく脳ミソに刺激を与えることが必要だ。歌えば気分も高揚してくるし、カラオケでも出せないようなデカい声で歌っても誰にも咎められない。これは単車に乗っているときでしか味わえない爽快感がある。
この日は、歌詞をほぼ覚えている曲の多い沢田研二や野口五郎、最近ちょくちょく歌うトム・ジョーンズ、平井堅などを中心に、熱唱というよりは絶叫に近いワンマンショーを繰り広げた。熱唱系が続き、喉が疲れると、ポルトガル語詞によるボサノバを、語るようにして歌う……。そんなことを繰り返しつづけた。

と、何曲歌ったか思い出せないほど、夢中でワンマンショーをこなした僕は、居眠りで事故を起こすことも無く、無事に青森に到着した。昨年と比べると、700kmもの道のりが短く感じるほどだった。
とった休憩はというと、給油が必要になるたびに、サービスエリアで軽食をとったり、用を足したりした程度で、昨年よりも若干早めに到着できたと思う。

台風の行方と待ち時間の交流

今年も元気な愛車のZRX400。
今年も元気な愛車のZRX400。荷物の内容も量も昨年とほとんど変わらない。

青森のインターを降りたのは、4時過ぎくらいだったかと思う。昨年と同じくらいの小雨が降っていて、いや~な予感がしてくる。
昨年はフェリー乗り場への道が分からなくて、他のライダーさんに勝手に道案内を頼んだが、今年は独力で到着できた。
フェリー乗り場に着き、駐輪場に単車を乗り入れると、昨年と同じくらいの台数と思える単車が既に停められている。この調子なら今年も次のフェリーに乗れるのではないだろうか……と思い、受付のある建物の中へ入ってみると、ギョッとするほどの人の列。ひょっとすると、一便くらいは待つことになるかも知れない。
僕は急いで書類に記入をし、列に並んだが、案じたとおり、次の5時発の便には乗れないとのことだった。次の便は8時で3時間以上待つことになる。まあ、仕方あるまい。
建物の二階にある待合室に登ってみると、テレビの朝のニュースで気象情報をやっていたりする。
「あ、台風はどうなったかな?」と思って見てみると、「台風はゆっくりとした足どりで北上し、今日の夕方から夜にかけて北海道の東部沿岸付近に上陸するでしょう」という予報。うわ、僕が目指している辺りをモロに通過するんじゃないか!

不安を無視したいかのようにして、僕は土産物売場を見て回ったり、フェリーの出入りする様子を見たりして時間をつぶした。
時間をもてあましたら旅行記を……というのが今年の旅行のプランであったが、まだそういう段階でもないので、ひたすらボーっとして過ごした。

この時乗船したフェリーの“ほるす”号。
この時乗船したフェリーの“ほるす”号。今年もまた……と思わせる鉛色の空が背景。

恐らくはライダーであろう若い男性の中には、建物の隅や柱の陰などで寝ている人もいたが、さすがにあれは真似できなかった。700km走った後だから、疲れがないと言えば嘘だが、休憩はフェリーの中で取るとしよう。

その後も、食堂の味噌ラーメンを食べたりなどして長い長い3時間をやり過ごした。
ここでも食のレポートをするチャンスではあるが、7時頃に麺が届くから待てと言われた割には……という感じだったので、写真の掲載は控えておこう。レイアウトの都合もあるのだけれど。

……というわけで、右の画像のフェリーに僕は無事乗り込んだ。

フェリー待ちの時に僕のすぐ脇に単車を停めていたライダーさん二人(二人ともkawasakiの単車だったので多少親近感を持って貰えた)と一緒に乗り込み、船室も近くに場所をとった。
お二人は、傍らで聞いている感じでは漫才のコンビかと思えるほど仲がよろしく、交わす会話も面白く、こちらが会話に参加するのが憚られるほどであった。少々待ち疲れもあった僕は、良く喋るキャラを隠し、お二人の会話を聞く立場に徹していた。

フェリーが出航すると、喫煙所で煙草を(三人とも喫煙者だった)吸いながら多少の会話をした。
僕は昨年に倣い、ビールを一本だけ飲んだが、お二人のうちの一人が「コイツが飲むと大変なことになるんで、どうか気にせずに飲んで下さいよ」ということで、お付き合いは適わなかった。
昨年は、深夜の航行だったし、イケるクチでなくてもビールの一本くらいは……という雰囲気があったが、今年は早朝も早朝。北海道へ渡れるという気分の高揚があっても、飲もうという雰囲気ではなかったかも知れない。僕のようなノンベェと除けば……。

昨年もそうだったように、同行していたどちらかから声をかけられて目覚めると、どうやら函館に到着したらしい。引き続きお二人にくっついて下船し、無事北海道へ上陸すると、計画しているルートが違っていたので、ここで別れ別れに。
昨年と違い、函館に到着したのは、正午頃。誰もが目的地へ向かって行こうとする時間だったが、所詮僕の旅は孤独な旅であり、無理矢理にでもお供を望むものでもない。そんなわけで、「この後も気をつけて。良い旅を」と、お二人に告げ、僕は港を離れた……。
前回分と比べて、多少は旅行記らしくなってきたところで、次回へ続きます。ここから先は、もっと旅行記らしくなります……というわけで、第二回のUP分はお終いであります。

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